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電気治療機器の特性について

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仕事での出来事

患者のリハビリを行う上で、家族の方と話す機会があるのですが、担当している患者のご家族様から
「機械を持ち込んでもいいですか?」と聞かれました。
この仕事を始めて5年以上経ちますが、
患者やそのご家族で物理療法機器をお持ちだという方にお会いしたことがありませんでした。

ましてや持ち込みたいと言われた経験がなかったため、正直驚きと戸惑いを隠せませんでした。
詳しく話を聞くと...
治療機器を取り扱っている会社の社長さんと親交があるというところから話が出たようです。
早期リハビリが大事であると言われておりますし、
親のために何とかしてあげたい、
早く良くなってもらうために必死になる気持ちが痛いほど伝わってきました。
ひとまず、一日に自分たちが介入できるリハビリの時間も限られているため、
病院側や医師の許可さえあればと思い、確認しますと返事は待っていただきましたが…

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脳卒中への有効性はあるのか?

いったん冷静に考えて、
そもそも患者の病気(脳卒中)に対してその治療機器が適応かどうか(効果があるのか)が疑問でした。
ご家族からは微弱電流治療器を2つほど、スマホ(メーカーのホームページ)で見せていただきました。
家に帰って調べてみました。

微弱電流治療器の特性について

主な治療効果としまして
・痛みの改善
・筋の弛緩
と書かれておりました。
ここで疑問に思ったこととしまして、患者の症状としましては
脳卒中の症状として片側の手足と体幹の弛緩・痙性麻痺が生じております。
そして随意的に動かすことが困難な状態です。
下肢に関しては足趾の筋緊張の亢進が認められるところがありますので、
そこに関しては筋緊張亢進を和らげる効能があるかもしれません。

目的のズレ

しかし、発症して間もない時期であり、筋は弛緩状態から痙性が高まり始めている段階です。
基本的には筋肉の弛緩状態を改善するために、筋収縮を促通していかなければならないのです。
ましてや痛みを取り除くのも目的がずれてしまっていると考えます。
したがって、現状で実施する治療機器ではないのではないかと考えます。
おそらくではありますが、
この方のご家族は治療機器の効果や内容を正しく把握なされていないのかと思います。

適応機器には何があるのか?

もし、脳卒中による片麻痺を呈する患者に適応があるとするのであれば...
麻痺によって筋が弛緩しており、脳からの指令で随意的に動かすことができない筋肉に対して
・経皮的電気刺激療法(TENS=Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation:TENS)
・機能的電気刺激(FES=Functional Electrical Stimulation)
・ハンズ療法(HANDS=Hybrid Assistive Neuromuscular Dynamic Stimulation)
という随意運動を介助するための電気刺激が起こせる治療、
あるいは装置が適しているのではないかと思います。
あとは、
・経頭蓋磁気刺激(TMS=Transcranial Magnetic Stimulation)
という治療もあります。
緊張が高まっている症状の場合
逆に、痙性が高まって(筋緊張が高まって硬い)状態に対しては
・ボトックス療法(ボツリヌス毒素治療)
というもので改善させるアプローチもあります。
このボトックスは効果が徐々に表れ、3ヶ月ほど持続します。